「フルーツが破壊される衝撃全体を感じる」〜HalfbrickによるApple Vision Pro向けのSuper Fruit Ninjaの開発プロセス

Super Fruit Ninjaのオープンルームで、一列に並んだフルーツ大砲の後ろに「Sensei」というキャラクターが立っています。

10年以上にわたる実績を持つFruit Ninjaですが、「Super Fruit Ninja」のタイトルでリリースされるApple Vision Proバージョンは、真に型破りなものになる、とこのゲームを開発したHalfbrick StudiosのリードゲームプレイプログラマーのSamantha Turner氏は語ります。 「Fruit Ninjaの最初のバージョンは、タッチスクリーンに新しい生命をもたらしたとも言えます。Apple Vision Proバージョンでも、特別なことを実現できる可能性を感じています。」

プレイヤーがオレンジからジュースを絞り出すことができたら? スイカを砕いて、テーブルや壁をジュースのしぶきで覆うことができたとしたら?

Halfbrick Studios リードゲームプレイプログラマー、Samantha Turner氏

Fruit Ninjaシリーズに10年近く取り組んできたTurner氏は、新しいプラットフォームでのさらなる展開を支える上で最適な人材だと言えます。Turner氏は次のように話します。「私たちは、従来の2Dユーザーインターフェイスをどのように3D空間に持ち込むことができるかを理解する必要がありました。アイデアが次々浮かんできました。プレイヤーがオレンジからジュースを絞り出すことができたら?スイカを砕いて、テーブルや壁をジュースのしぶきで覆うことができたとしたら?Turner氏は笑いながら話します。「その環境を存分に楽しんでみました。」

一方で、ユーザーをその環境に引き込むことも必要でした。「そこで私たちは浮遊するメニューを思いついたのです。」これはFruit Ninjaのファンには馴染みがある、かつてのホーム画面を想起させるものですが、空間での浮かび方が異なるとTurner氏は加えます。「私たちは、フレンドリーな形でユーザーを受け入れながら、イマーシブな空間に引き込みたいと考えました。メニューを構築する前に、仮想オブジェクトに配置する3Dテキストを生成するなどの作業を行っていましたが、そのやり方では、ゲームの世界観を定めるのに必要な、クリエイティブな自由が得られませんでした。」

リビングルームの環境で、プレイヤーの腕が浮遊する数々のスイカをスライスしている。背景の暖炉の前にスコアボードが浮かんでいる。

その世界観とは、Fruitasiaの善良な市民が部屋の中に現れた不思議なポータルを見つけたという想定です。「Senseiがポータルを通り抜け、ユーザーがその世界を覗き見るのです」とTurner氏は話します。

次にTurner氏とHalfbrickのチームは、プレイヤーが自分の周りの空間を操作するための、派手で満足感のある体験の構築に取り組みました。鍵となったのは、ユーザーに向けてフルーツを発射する最も合理的な方法ははどれか、という問題です。

「まず次のように始めました。目の前に数メートル四方の空間があるとして、プレイスペースはどのようなものであるべきか。邪魔な椅子やテーブルがあったらどうか。オフィス、リビングルーム、キッチンなど、ユーザーのさまざまな環境にどのように対応するか、などです。」それらの答えを見いだすため、HalfbrickはRealityKitプロトタイプを開発しました。「それらを見ただけで、本当に可能性が広がりました。」その答えは?効率的にフルーツを斬ることができる最適な距離をもとに半円状に配置された一連の大砲が答えになりました。

剣を持つのではなく、手を使うだけです。

Halfbrick Studios リードゲームプレイプログラマー、Samantha Turner氏

また、3D空間で宙に浮いたバナナの束をプレイヤーがどのように斬り分けるか、という問題にも取り組むことができました。チームはさまざまな手の動きを試し、最終的に満足のいく形を見いだしました。「剣を持つのではなく、手を使うだけです。プレイヤーが武器になるのです。」

プレイヤー自身がパワフルな武器になり、パイナップルやスイカを手で叩き、さいの目状にスライスします。爆弾が来たら払いのけて遠くの壁に押しやり、遠くで爆発させて被害を免れます。手のひらを外方向に払えば、宙に浮かぶフルーツに手裏剣を投げつけられます。Turner氏が特に好きなモーションです。「近くで見ればその迫力に満足感が得られますが、遠くで見るとフルーツが破壊される衝撃全体を感じられます」と彼女は笑いながら言います。

プレイヤーが、Super Fruit Ninjaの1キャラクターである「Truffles」という名前の豚にイチゴを与えています。このシーンはリビングルームでのもので、「Sensei」というキャラクターが背景の暖炉の隣に立っています。

すべては手のジェスチャを探求した結果です。Turner氏は次のように語ります。「私たちは常に手が体験の中心になると考えていました。プレイヤーが物を掴んで投げ飛ばせるようにしたいと思いました。また、快適にフルーツをスライスできるようにフルーツの弧の形に調整を加えました。実際にはデバイス自体の垂直位置を利用して、フルーツが頭の上に飛んできたり、飛ぶ位置が低すぎたりしないようにしています。」

その結果、プレイヤーだけでなくクリエイターにとっても、かつてないほどイマーシブ感があり、おそらく最も楽しいFruit Ninjaが誕生しました。「正直に言って、個人的に最も好きなバージョンの1つになりました」とTurner氏は明かします。

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