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UXライティングでアプリにパーソナリティを追加
アプリにはそれぞれパーソナリティがあり、それによって「何をどのように伝えるか」が決まります。アプリのボイスを定義し、お祝いの通知からエラーメッセージまで、状況に合わせてトーンを調整する方法を説明します。アプリの目的と対象ユーザーを明確にし、それに合ったトーンで記述する方法を練習しましょう。
関連する章
- 0:00 - Introduction
- 0:40 - Personality, voice and tone
- 5:16 - Voice exercises
- 14:18 - Tone exercise
リソース
関連ビデオ
WWDC22
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こんにちは Alexです AppleのHuman Interface Designチームの ライターです 同僚のLivも後で参加します 今日は UXライティングでアプリに 個性をプラスする方法をご紹介します まず 個性 ボイス トーンについて それぞれの定義を説明します その後 アプリのボイスを見つける方法を 2つの演習を通して見ていきます 最後に1つ演習を行って 様々な状況で適切なトーンを 使用する方法をご紹介します 演習では 付箋があると便利です あったら用意しておいてください 人間と同じように アプリにはどれも個性があります アプリの個性は 前面に現れていることもあります 言語の学習に役立つ Duolingoのような アプリを考えてみましょう このようなアプリは 進捗を追跡し それまでの成果を実感できるため 明るく楽しめる雰囲気のものがよくあります これは色遣いや キャラクターのFalstaff 楽しいイラストや文章からもわかります 「クエスト」という言葉選びは まるでゲームのようです 感嘆符がさらにインパクトを加えています 色遣いやタイポグラフィ アニメーションなど アプリの個性は様々な形で現れます 今日はライティングで アプリに個性をプラスする いくつかの効果的な方法に注目します ボイスとトーンです ボイスとは 言葉を通したブランドや価値の 表現と考えることができます こうした表現については それほど変わることはありません Appleでライティングをしていて 適切なボイスで表現するために 心がけていることがいくつかあります
明確さ シンプルさ 親しみやすさ そして有用さです ボイスは人によって違いますが Appleのライティングには 全体にかなり一貫性があり これらの特性を常に意識することが 私の指針になっています
Appleのボイスを理解していると ライティングがしやすくなります AppleのUIを見ても その表現から Appleらしさがはっきりと感じられます 例を挙げてみましょう この画面はとてもシンプルに見えますよね 実際その通りです この画面にもっと多くの情報を 含めることも考えましたが デザインチームは 必要な情報だけに絞りました
まず親しみやすい挨拶で始まります 「おはようございます」 人に挨拶されたような感じですね 次に簡潔な記述が続きます 必要な情報だけを伝えているので とても読みやすくなっています 「Apple Watchをお持ちの場合 ここで iPhoneとペアリングすることができます」
その下のテキストリンクでは Apple Watchについて詳しく知りたいと システムに伝えることができます その後のボタンも非常に簡潔で 文章で使用されているのと同じ 「ペアリング」という言葉が使われています 「ペアリングを開始」で 次のステップに進みます
あまり技術的だとつまらない表現に なりそうですが そうは感じません
次に コンテキストによって ボイスを変える方法を見てみましょう これをトーンといいます トーンとは ボイスを状況に応じて 変えることだと考えてください Appleデバイスを使っている人が 目にする場面をいくつか見てみましょう この人はApple Watchで Fitness+のワークアウトを 100回達成したようです ここまでやり遂げたことを 称えるような お祝いのトーンになっています 「Don't stop now!」は 大きな成果を挙げた人を コーチや友人が 後押ししているように見えます 感嘆符は安易に使わないように 控えていますが この状況であれば 画面にあっても違和感はありません どこにいても 見守られている感じがする内容で 体験がさらに向上することでしょう
一方 こちらの人は 健康に悪影響を及ぼす可能性のある 何かが見つかったようです 先ほどとはトーンが異なります 「High heart rate」が主なメッセージです その見出しの後に 簡潔な文章が続きます 「午前9:59から10分間ほど 活動がなかったようですが その間に心拍数が120 BPMを超えました」 すべての詳細とデータが示されているので 十分な情報に基づいて この後の対応を判断できます
どちらの例も Appleのボイスから 外れている感じはありません それぞれに 明確さ シンプルさ 親しみやすさ 有用さの要素があります
左の例では 中でも明確さが 強く表れています これは非常に重要な情報なので 率直に伝えることが重要です 文の中に3つの数値が含まれていて 状況を正確に伝えています 右の例は 親しみやすさが強くなっています この場合は 楽しい瞬間なので 友人やコーチのような表現で構いません 「Don't stop now!」と 感嘆符も使われています 楽しさが伝わり やりすぎではありません 状況によって ボイスの特定の側面が 強くなったり弱くなったり するのがわかります それがわかれば トーンの使い分けに役立ちます ボイスは状況に関係なく一貫した要素であり トーンは状況に応じて変わるもの あるいは変えるものと考えてください
Alexが アプリにはどれも個性があると ご説明しました では それをアプリで使えるボイスに 変えるにはどうすればよいでしょうか
ここでは 2つの演習を通じて アプリのボイスを見つけ それをアプリのライティングに 使用する方法を説明します 最初の演習では アプリを人間に例えて そのボイスを定義します 2つ目の演習では アプリのボイスでようこそ画面を どのように書くかを見ていきます 最初の演習に入る前に 少し時間を取って アプリの目的と 対象ユーザーについて考えてみましょう それらはすでに十分おわかりと思いますが はっきりと言葉にしているでしょうか 簡単な説明を書き留め それを手元において演習を進めると やりやすいと思います この最初の演習では 投資アプリを例として使います この投資アプリは キャリアの早い段階で 長期的な投資を 考えている人を対象としています 自分のアプリをイメージしながら 付箋を用意して始めましょう
アプリが人間だとして どんな人なのか どんな個性があるか想像してみてください そして最初に思い浮かんだことから いくつか付箋に書き留めていきます 皆さんも 自分のアプリで 同じようにやってみてください
例えば 私のアプリは投資の アドバイスもしてくれるので 人間で言えば賢くてまじめかもしれません このように アプリを人間として表現したら どんな言葉になるか挙げていきます 思いついた説明から アプリを連想できるか意識しながら アプリを最も正確に表すと思う形容詞を できるだけたくさん挙げてみてください たくさん集まったら 一歩引いて見直してみます いくつかテーマが浮かんでくると同時に 似たような言葉が見つかることでしょう 私の場合でいえば 聡明 明瞭 賢明などは どれもよく似た言葉です そのため最初に それらの付箋を一緒にします 皆さんのアプリでもやってみてください 付箋を動かしていくと 2つの大きなカテゴリが見えてきました 聡明さを表す言葉と やる気を出させることを 意味する言葉です それらが 私のアプリのボイスとなる 主な要素になります 一方で いずれのカテゴリにも 当てはまらない言葉もいくつかありました 儀礼的 機知的 形式的などです 皆さんも同じではないでしょうか これらは アプリのボイスを定義する 要素にはならないかもしれませんが アプリのライティングで どのような言葉を使うか考えるときの 参考になります
最後に そのアプリを人間として表現したら どの言葉が最も正確かを選んでいきます それらの主な要素が アプリのボイスの定義となります ここで 投資アプリではなく 子供向けの貯金アプリを 作成しているとしたら ボイスはどのように変わるでしょうか このアプリは どちらかというと 先生や家庭教師のようなイメージです そのため 楽しい 前向き 楽観的などの 言葉を書き留めました その後も 先生や家庭教師をイメージして さらに言葉を挙げていきました それらを 最初のアプリと同じように テーマ別に分けてみると 「親切」「楽しい」「励まし」という 3つのカテゴリが見つかりました これらを使ってアプリのボイスを 表現することができます
2つのアプリを並べて見てみると どちらのアプリも目的は似ていて 金銭的な目標を達成するためのものですが ボイスはかなり違うことがわかります これまでの演習は アプリの口調をどのようにするかを 決めるのに役立ちますが 厳密に体系化されたものではありません そのため カテゴリに 当てはまらない言葉であっても アプリの口調や伝えたい内容と 一致するのであれば アプリのボイスに取り入れてみてください この演習を終えて アプリのボイスが 明確になったのではないでしょうか ここから 次の演習に進みましょう この演習では 例として アプリのようこそ画面に 表示する文を書いてみます ようこそ画面は アプリのボイスを示す絶好の場所です アプリを使う人々と接する 最初の機会の1つだからです では まずは Appleのボイスによる ようこそ画面を見てみましょう これは iPhoneの 株価アプリのようこそ画面です Alexが話したように Appleのボイスは 明確 シンプル 有用 親しみやすいもので この画面は「ようこそ」という 親しみやすい言葉で始まっています その後に Appleの多くのアプリの ようこそ画面と同じように アプリの機能を説明する 箇条書きが3つ続きます 最初の1つを見てみましょう 見出しの「市場データ」は 明確かつシンプルで アプリの内容を正確に伝えています その次の行の 「株価情報、インタラクティブなチャート、 その他の金融指標を表示できます」は どのような市場データにアクセスできるか より詳しい内容がわかるので有用です では アプリのようこそ画面に表示される 文を一緒に書いてみましょう 投資アプリの例を使って 先ほど定義した 聡明でやる気を出させるようなボイスで ライティングを行う方法を紹介します 私が伝えたいのは お金を貯めることについてです では それを書き留めてみましょう 「お金を貯めましょう」 ようこそ画面にこのまま表示しても やる気が出るとも 聡明に聞こえるとも思えません お金を貯めたいとは 誰もが考えていますが このアプリが若い投資家に どのように役立つのでしょうか キャリアの早い段階で投資を検討する人は お金を増やしたいと考えています 「貯める」という言葉はやめて その点を念頭に文を書いてみましょう アプリのボイスの 「やる気を出させる」部分に注目して もっと能動的で力づけるような動詞を 選ぶとよいかもしれません 「カスタマイズ」という言葉は どうでしょうか そちらの方がやる気にはつながるとしても 少し紛らわしい文になっています お金をカスタマイズするのではないからです もっとわかりやすくするために アプリで何ができるか具体的にしてみます 目的は 投資戦略を立ててポートフォリオを 拡大できるようサポートすることです それを文に加えると 聡明さもより伝わるかもしれません
「投資戦略をカスタマイズしましょう」 聡明さも伝わり ずいぶん良くなってきました 次に 対象ユーザーに目を向けると 本当に伝えたい相手は若い投資家たちです そのため その人たちがアプリで 何ができるのか もっと具体的に伝えます 「長期的」というフレーズを追加すると 対象ユーザーに合った より具体的な文になります 「お金を貯めましょう」という アプリのことが今一つ伝わらない 一般的な文章から 「長期的な投資戦略を カスタマイズしましょう」という アプリのボイスに合った文が完成しました
では 最初の演習と同様に 子供向けの貯金アプリについても 同じようにやってみましょう 子供向けのアプリには「親切」 「励まし」というボイスがありました ここでは 投資アプリの例で使用した 同じ文から始めていきます 「お金を貯めましょう」 繰り返しになりますが これは アプリを使う人が最初に目にするものです 「親切」「楽しい」「励まし」という印象は この文では子供たちに伝わりません 「貯めましょう」という言葉は アプリが助けてくれるというより 指示のように聞こえるかもしれません この文の冒頭にもっと励ますような 表現を加えてみましょう
「このアプリで一緒に」から始めれば アプリのボイスの「楽しい」「励まし」 という両方の印象が強まります 「このアプリで一緒にお金を貯めましょう」 この方が楽しさも間違いなく伝わります 次に 子供たちは なぜお金を貯めたいのか考えてみます それの何が楽しいのでしょうか おそらく 何か欲しいものがあって お金を貯めているのではないでしょうか 「お金を貯める」というフレーズを 子供たちの貯金を助ける理由を示す より具体的な表現に変えると 楽しさがもっと伝わるかもしれません この部分を「お金を貯めて 欲しいものを買いましょう」に変えて もっと遊び心がある文にし お金を貯める理由を 子供たちに伝えることにしました ここで 最初のドラフトと この文を見比べてみましょう アプリを紹介する文が より具体的な内容に変わり 親切で楽しく励ますような 感じが伝わってきます どちらの例でも 「お金を貯める」という 同じ文から始めましたが それぞれのボイスをイメージしながら ライティングを行うことで 最終的にまったく違う文が完成しました ここまでで アプリのボイスを使った ライティングの方法はわかったと思います では ボイスを状況に応じて 調整する場合はどうすればよいでしょうか この後 Alexが 先ほど書いた文の1つを例に 別のトーンで書く方法を紹介し それをアプリで行う手順を説明します トーンとは ボイスを状況に応じて 変えることであると説明しました 先ほどの文をもう1回見て トーンについて考えてみましょう ボイスは調整してあるので トーンを変えてみます これはようこそ画面なので 少し刺激的なインパクトのあるトーンで 表現にもっと活力を与えたいと思います まず 書き出しを 行動的な3つの言葉に変えてみます
このアプリは子供向けなので 「すごく」のようなカジュアルな 言葉を加えてもよいかもしれません 感嘆符を使うと活力が加わります ボイスから外れている感じはありません
「買う」を削除して「欲しいもののために」 などとしても インパクトのある文になります
最後の演習では トーンについての1つの考え方を探ります Appleのボイスといくつかの例を 使って見ていきましょう 先ほどお話ししたように 私は Appleでライティングをしていて 心がけていることがいくつかあります Appleのボイスを決定付ける特性は これらだけではありませんが これらが私の指針になっています 少し緊張感があるのがわかるでしょうか シンプルさと親しみやすさは 互いにわずかに対立しています 親しみやすさを出そうとして どこかに単語を追加すると その分だけシンプルさが失われ その逆も同じです 互いのバランスが重要で それによってトーンが変わります
特定の状況に合わせて トーンを調整するときは これらの各特性を 強めたり弱めたりして 変えていくとやりやすいはずです 前に見たフィットネスの お祝いのメッセージのような 例について考えてみましょう まず 十分な親しみやすさが必要になります また どのような成果を達成したのかも 明確にする必要があります シンプルさはそれほど重要ではありません 少しくらいなら 言葉を足しても問題ありませんが 短い方が理解しやすいでしょう
有用さも すでに成果を達成しているので それほど必要はありません 完成したのがこれです 「やりました!」というメッセージに 親しみやすさが表れています 見出しと最初の文章から 何を達成したかも明らかです 「1日の目標移動量の3倍に到達。」 「やりました!」は 実際にはなくても構いませんが ここではシンプルさを多少犠牲にして 親しみやすさを出しています また 実際に行動を促すものでもないので 有用さの優先度は低くなっています 別の例も見てみましょう Wi-Fiなどのサービスに接続していない人が 作業を完了するために 接続が必要で困っているとします その状況では どうすればよいか正確な情報が必要なので 有用さを高くします
この場合 明確さと有益さは連携します 明確であれば 必要な情報を得るのに役立つからです
シンプルさは重要ですが 明確さや有益さほどではありません とにかく詳しい情報が必要だからです 最後に 親しみやすさについては 不要なわけではありませんが この状況では助けになることが目的なので 多少低くても構いません では 完成したものを見てみましょう 見出しは極めて明確で直接的です 「モバイルデータ通信はオフです」 非常に直接的で 友だちと話しているようには見えません 文も非常に有用かつシンプルで どう対処すべきかを的確に伝えており 余計なことは書かれていません 「データにアクセスするには モバイルデータ 通信をオンにするかWi-Fiを使用してください」 ここで 情報を繰り返しているのは 明確さが最も重要だからです もう1つの例で試してみましょう 新機能を紹介する場合はどうなるでしょうか
使う人にとって初めての体験となるので 親しみやすさを取り入れると よいかもしれません 使い始めたばかりなので 使い方の感覚を伝えて サポートしたいと思うはずです 機能の内容と目的も 明確に伝える必要があります シンプルさは常に求められますが ここでは優先度は高くありません 新しい機能について 少し詳しく説明する必要があるからです 完成したものを見てみましょう この例は 仕事集中モードという 新しい集中モードの紹介です 機能の名前がそのまま見出しになっています 「"仕事集中"モード」 これは非常に有効な方法で これ以上明確にしようがありません その下のサンプルメッセージには 親しみやすさと有用さも見て取れます 「プロジェクトやTo Doリストに取りかかって いる時は 通知が出ないようにしたり 画面やアプリをカスタマイズしたりして 作業に集中できます」 親しみやすさがある分 少しカジュアルになっていて それほどシンプルではありません
どの特性も大きく下げてはいません バランスを調整するだけです もちろん トーンの違いは微妙なものです 前の例で説明した 聡明さのような特性は 常にあるべきだと思います 強めたり弱めたりするものではありません この演習は トーンのすべてを お伝えしたものではありませんが トーンをどのように調整するか考えるための モデルとしては役に立つと思います 実践しやすいように 4つの簡単な ステップに分けてみましょう まず ボイスを表す4つの特性を選びます 次に それらの配分を調整します そして状況に応じて 必要なバランスを取り 最後に そのトーンでライティングします
内容が盛りだくさんでしたね いくつかの演習を通じて アプリの適切なボイス トーン 個性を 見つける方法を紹介しましたので ぜひ試してみてください アプリのライティングでは 留意すべき ベストプラクティスがいくつかあります まず ボイスやトーンを使って書くときに 実用性を犠牲にしないことです 個性がはっきりと表れる 特別な瞬間を探してください
書いたものは声に出して読んでみましょう アプリの良さが 最も伝わる内容になっているか 自問してみてください
専門用語は避けましょう 誰もが知っているわけではないので 人によっては取り残されたように感じます またそれに関連しますが インクルーシブに書きましょう 誰も除外することなく すべての人に 受け入れられる表現を心がけてください 詳しくは インクルーシブな ライティングについて調べてみてください 最後に WWDCのセッションは いつでも繰り返しご覧いただけます 「Writing for Interfaces」や HIGのライティングに関するセクションが 参考になると思います 皆さんのライティングを楽しみにしています ご視聴ありがとうございました
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